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GEISAI ニュース

2009.08.20

GEISAI大学 講師の千宗屋さんのお話

イエール大学やグッゲンハイム美術館などでの多くの講演や実演、
茶道の伝道師ともいうべき活動を経て、
アメリカから帰国されたばかりの武者小路千家の若宗匠、
千宗屋さんを、GEISAI大学での講義のお打ち合わせのために、お尋ねしました。
台風一過の朝、むっとする暑気の外から内に入ると、
一転香が薫きしめられた清浄な空気の中、千さんが迎えてくださいました。

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「重窓」と銘された千さんのお部屋。
床の間や芳名帳が置かれた文机にお茶の取り合わせの美が滲んでいます。

通して頂いたお部屋は、立礼卓「天遊卓」を考案された千さんらしい
洋のスタイルが和の美意識に溶け込んだ、美しい空間。
400年の歴史を持つ茶道の家元の家に生まれ、日々お道具たちと暮らす千さんは、
「蒐集と価値」をお題に、どのようなお話をしてくださるのでしょうか?
その一端を、少しだけお聞きしてみました。

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千宗屋さん。

コレクションというテーマを考えるとき、大きいのは松平不昧という人です。
出雲の松江藩七代藩主で、近代以降のコレクターの規範になるという意味では、
この人ありの存在が非常に大きい。
彼が藩主になった当時の松江藩は財政が厳しくて、若い頃はその立て直しに力を注いでいたんです。
しかし、それが成功して余裕が出来た頃から、今度は道具買いが止まらなくなって、
死ぬまでの数十年間で凄まじいコレクションを作り上げることになっていった。

彼は、まず自分コレクションすべてにランキングをつけていきました。
宝物、大名物、名物、名物並。宝物というのは、天下の名高い宝であるから、
お茶会でも絶対に使用しない。その中でも、一番愛していた墨跡と茶入は、
参勤交代でもそれを運ぶための専用のお供が何人かいて、
毎日、自分の宿屋の床の間に鎮座させないと落ち着かなかったという。
すごいのは、このランキングが的外れじゃなく、未だに有効で、
その後の数寄者達のコレクションの基準になっていく、ということです。

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松平不昧の展覧会のカタログなどの資料も。
こちらも講義当日、スライドでお見せいただけるそうです。

彼は、個人の楽しみであると同時に、
それを超えて、『古今名物類聚』という東西の名物の目録を作ったり、
後世にひとつの範として伝えていくという気持ちを持っていた。
当時はまだ美術が公共のものであるという意識が無かった時代なのに、
すでにそれを少し意識しているところがある。
絵巻物とか蒔絵ものとか、当時あまり重用視されていなかった様なものに
随分目配せしているとところからも、そうした意識が感じ取れたりします。

それに、いまでも不昧の道具というのは、一見して彼のものと分かるんです。
元の箱に専門の職人に作らせた外箱をつける。その上に自分で箱書きを書いて、
さらにその上に汚れない様に覆い紙をかける。それも専用の紙をひかせて、
雲州紙と言うんですが、一代で絶えて、いまではその技術がわからないという。
きっと不昧さんしか使えない紙だったんでしょうね。
だから、その紙がかかっているだけで、不昧の道具だとわかることになる。
そんなふうに、すべてに決まったフォーマットがあって、掛け軸でも、極め札という、
鑑定書みたいな小さい札があり、それを入れておく箱にまで不昧モデル上があるという徹底ぶりだった。
だから、不昧の雲州蔵帳は、お茶道具の戸籍簿と言ったらいいか、
珍重されている茶道具の大元になっているところがあるんです。
雲州蔵帳にあるということそのものが、大きなステータスになっているんですね。

しかも、そんなふうに、単に古いものをコレクションするだけではなくて、
職人たちにそのための備品的なものを作らせたり、ときには写しを作らせたり、
それをまた周囲に分けたりて、だからいまでも出雲が出雲焼なんかの伝統工芸が盛んなのは、
やはり不昧の影響からきている。松江の町はお抹茶を飲むことが非常に盛んで、
いまでも日本国中で、どこの家に行っても必ずお抹茶が出てくるのは松江だけだという。
そのくらい、日常的にお茶を飲み続けている町。
それは不昧さんがいたから、みんなお茶が好きになったからなんです。

ここで大事なのは、社会とのコミットという問題で、
閉じこもってコレクションをしているだけではなくて、
客観性を作り、社会に向けてそれを開いていったということ。
ある種、非常に近代的な啓蒙主義ですね。
だから、後の多くのコレクターが彼を参考にし、憧れの対象にした。
そんなふうに、松平不昧は、生きたのは江戸の終わりですが、
精神は日本の近代化の始まりにいた人の一人なのだろうと思います。

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お話のあと、茶室で一服頂戴して。贅沢な時間でした。

というわけで、
いまの私たちの日常の道具の美意識のベースにあるお茶とお茶道具の世界、
それがどこから来るのか、「蒐集と価値」シリーズの最後を飾っていただくには、
これ以上ない刺激的なお話をいただけそうです。
当日は、千様が自らセレクションされた茶道具も、
会場であるカイカイキキギャラリーの一角でお披露目してくださることになっています。
皆様、どうぞお楽しみに。

<GEISAI大学 第1シーズンの2 開催内容>
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開催日時:
GEISAI大学 第1シーズンの2
      2009年 8月21日(金)千 宗屋氏

開催時間:19時00分〜20時30分  ※時間は変更となる場合があります。

開催場所:Kaikai Kiki gallery
   〒106-0046 東京都港区元麻布2-3-30 元麻布クレストビル B1
     ○バス:都営バス橋86 (目黒駅前 - 新橋駅前) 愛育病院前下車、徒歩2分
     ○電車:地下鉄広尾駅 (日比谷線)下車(1番出入口)、徒歩8分
  地下鉄麻布十番駅(南北線/大江戸線)下車、徒歩10分
     ※駅から会場まで距離がございますので、お気をつけ下さい。

受講料:1回 3,000円

申し込み方法:下記のメールアドレス、
       もしくは「チケットぴあ」からお申込み下さい。

    ■第1シーズンの2
     チケットぴあ Pコード:615-659 1回    3,000円

お申し込みメールアドレス:info@geisai.net
こちらのアドレスまで「GEISAI大学第1シーズンの2申込希望」と表記頂き、御送り下さい。
折り返し、お申し込みに関する詳細をお送り致します。

※ドメイン指定をされている方は、info@geisai.netを受信出来るようにお願い致します。
※返信は長文になりますので、携帯電話のメール受信制限は解除をお願い致します。
※定員数に達した場合は、キャンセル待ちの受付とさせて頂きます。

皆様の御参加、御待ち致しております。

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