GEISAI TAIWAN#1 フォトレポート

GEISAI TAIWAN レポートその3/審査の行方

GEISAI実行委員会です。 既にGEISAInet中国語版では発表されております受賞者速報ですが、 http://tw.geisai.net/app.php/g12/newsblog/article/85 実は金賞の田秀菊(テン・ショウジー)さんは、72歳のおばあさんなんです。

GEISAItaiwanの開催は、翌日には沢山の地元メディアでも大きく取り上げられ、とても大好評だったのですが、この田秀菊さんの金賞受賞の記事は、中でも沢山紹介されました。

下記にその一部紹介させて頂きます。 台湾の大手地元新聞

【記事の翻訳】
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GEISAI 芸術のお祭り 金賞は70代のお婆ちゃん

日本人アーティスト村上隆が主催した芸術祭、GEISAITAIWANの第1回が、6日(日)華山クリエイティブパークで行われました。 四百人を超える若いアーティストを集め、なんと日本や、香港からの出展者もいたそうです。 村上隆、日本人の現代美術アーティスト奈良美智、そして”CasaBRUTUS”編集長亀井誠一の、三人の審査員により、金賞を七十二歳の泰雅族のお婆さん、田秀菊さんに授与しました。

村上隆は「今までの日本のGEISAIで金賞を受賞したアーティストは、20代が多かったので、今回、初めて70代の方が金賞を受賞したのを、不思議に感じた。」とコメントした。

記録を破ったことを、不思議に感じた村上隆。

6日の華山クリエイティブパークの人込みから考えると、村上隆は、台湾の若いアーティストを呼び集める強い力を持っていてることがわかる。 2002年より東京で開催したきたGEISAIは、若いアーティストのために、“自分を表現する”舞台を作って、新進アーティスト、バイヤーそしてクリエイターが直接交流することができるプラットフォームを提供してきました。日本で毎年二回行われるGEISAIは、今や、日本アートシーンの一大イベントとなった。

七十二歳の田秀菊さんは、今回二人の娘と一緒に出展しました。“70歳のお婆ちゃんの、美しい初めてのSHOW”というタイトルで、この二年間の作品の見せてくれた。新竹県出身、台湾原住民の泰雅族の田秀菊さんは、小学校を卒業した後、稼ぎがよい美容美髪の勉強を始めた。十九歳の時に結婚して、高雄に引越した。それからは、ずっと、家計のために、美容サロンで勤めていた。二十代の時、夫が重病に罹り、医療費を稼ぐために、一人で台北に出てきた。今は美術の先生の娘と一緒に暮らしている田秀菊お婆さんは、娘の励みを受け、二年前から絵を描き始めた。「母は才能があるけど、昔は八人の子どものため、それから孫のために、ほとんどの時間を使っていて、自分の時間がなかった。今は、少し休んでほしいと思うので、絵を薦めた。」

本当の自分を見せた田秀菊さん

「でも、母はいつも『家事をしなきゃいけないから。』と、言い訳したりするので、今回は勝手に(出展に)申し込みました。」娘の鄭淑文さんは笑いながら言った。「ここ最近は、血圧の薬を飲みながら、徹夜して作品の修正をしてた。」純粋な気持ちが奈良美智を動かした。

ほとんどがクレヨンで描かれた田秀菊さんの絵は、全て自分自身の生活を描いてる作品です。中でも、2007年に家族で中国桂林に旅行しに行ったときの油絵は、一家団欒の風景を、審査員の奈良美智がとても気に入り、「絵を購入したいと」言ったようだ。「お婆ちゃんの作品は、ありふれた日常生活への愛情が込められていて、純粋な気持ちが感じ取れます。」奈良美智から絶賛を得たが、お婆ちゃんは目の前に立っている超有名アーティストのことは全く知らなかった。来年三月、日本の東京で開催されるGEISAI#14に、台湾代表として参加をする田秀菊お婆さんは、照れながら「絵を頑張ります」と笑った。

GEISAI TAIWANでは、金賞だけではなく、銀賞や銅賞の受賞者も選ばれました。

銀賞受賞者は27歳の画家、李承道さん、銅賞受賞者は30歳の高倩怡さんが選ばれた。台湾師範大学美術学科大学院修了者の李承道さんは、アングル等の西洋古典写実主義の巨匠に影響され、古典写実のテクニックを使い、現代の抱える問題を再現します。従って、彼の作品は揶揄的表現で描かれています。例えば、彼の作品「ベットのランチ」では、体に過剰な脂肪が付く肥満体の男性が、鑑賞者に背を向け、頭にハンバーガーが入っていた箱を載せる姿で、肥満者の食事制限の不可能を表現する。そして、もう1つの作品「HERO」では、マスクを外し、衣装を脱いだスーパーマンとバットマンなどの3大ヒーローが一般人のような太目の体型で描かれている。

銅賞受賞者の高倩怡さんは、実践大学の視覚伝達デザイン学科を修了した。彼女の作品は、個人的な感情や情緒に訴えかける。例えば、彼女の自画像では、頭に鬼の赤い角が生えて、無表情な目付きの自身が描かれている。「この絵で昨年の北京での心境を表しました。初めての海外出張だった為、私は非常に緊張していました。」と彼女は述べていた。もっと面白いのは、彼女がブース内で4つのタバコの箱を置いた為、審査員の奈良美智が、好奇心を擽られていた。「この4つのタバコは私の好きな種類なので、箱を残しただけ。特に意味はありません。」と彼女は語っていた。

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今回のGEISAItaiwanでは、非常に多くの地元の皆さんに興味を持って頂けた様です。
その審査の様子を紹介します。

  • 金賞 田秀菊(テン・ショウジー)さんの作品を見る審査員一同。
  • 田秀菊さんの魅力的な作品群。
  • 銀賞の李承道(リー・チェンダァウ)さんの作品を見る審査員一同。
  • こちらは銅賞となった高倩怡(カゥ・チェンイー)さんの作品。
  • 審査員室で審議中の審査員。目まぐるしく評価が前後し、何度もブースに足を運びます。
  • 授賞式で思わずガッツポーズを取る受賞者。
  • この日は、審査員個人賞、アーティスト賞を含めて合計15名もの受賞者が誕生致しました!
  • 金銀銅賞の皆さんで、ステージにて記念撮影。
Photo by Takehiro Segawa (AZIO)